ご存知ですか、ACP①|世田谷区の訪問診療専門クリニック|ちとせクリニック

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ご存知ですか、ACP①

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 超高齢社会の日本。年を取っても、病気になっても、住み慣れた場所で安心して暮らしていきたいと思うのは、誰しもの願いではないでしょうか。「終活」という言葉が流行語大賞のトップ10にランクインしたのは2012年、今から13年程前のことですが、「ACP」という言葉はご存知でしょうか。いざという時のために、ご自身のこれまでの人生を振り返り、今後の生き方を最期にわたるまで計画するのが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)、別名、人生会議です。アドバンスには、「前もって」という意味があります。前もってケアをプラニング、「計画する」とは、具体的にどういうことでしょうか。
誰でも命に関わる病気やケガをすることがあります。そうでなくても、人はいつか、自分の思いや願いを話せなくなるときがやってきます。そのような状況になったときに、ご自身についての方針を明らかにしておくのが、ACPです。「何が好きか、嫌いか」とか、「いつも人に囲まれていたいか、ひとりの時間を大切にしたいか」とか。一見些細に思えることも、これから、そして最期の時を心地よく過ごすために大切なポイントになります。そのためには、まず自分の価値観を振り返ってみましょう。今までどんな場所に住み、どんな仕事をしてきたか。いつの時代が一番楽しかったか。行きたい場所、これからやってみたいこと、どんな空間にいると落ち着くのか。そういったことを一つひとつ、丁寧にひも解いていきます。一度に全部、急いで決めてしまう必要はありません。人の考えは変わることもありますから、この作業を繰り返すことで、これからどうしていきたいか、だんだんと考えが固まっていきます。
これまで生きてきて、自分がなにを大事に思っているかが分かってきたら、最期まで「自分らしくありたい」という願いは誰に伝えたらよいでしょうか。まずは、身近なご家族やパートナーといった、あなたが信頼している人。介護保険を利用されている方であれば、ケアマネジャーやヘルパー、地域包括支援センターの方など、あなたの介護に関わる人。かかりつけ医や在宅医、訪問看護師といった、あなたの医療に関わる人も挙げることができます。
では、ご自身の人生についてあらかじめ考えておくことが、役立つのはどんなときでしょうか。第一にあなたご自身のためです。病気などで意識がなくなり、自分のことを決められなくなったときです。二番目に、家族などのパートナーのためです。万が一、家族があなたに代わってあなたの命についての決断を迫られたときに、日頃からあなたの思いや価値観を知っていれば、負担を感じずに決められます。三番目に、介護に関わる人のためです。介護サービスの利用を含め、日常生活の過ごし方を一緒に考えることができます。そして最後に、医療を担当する人のためです。あなたの病状だけでなく、生き方を尊重し、医療の方針を考えてあなたに伴走することができます。
病気になったり、身体が思うように動かなくなったりしても、自宅で暮らしたい。
そんな願いを叶えるための支援があります。パート2で具体的にご紹介していきます。

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